最後のチャンス

由美さん、プロポーズして頂きました!
そう、嬉しい報告をしてくれたのは40代後半にさしかかったS子さんです。

S子さんと私の最初の出会いは、月に2回程開催している占いに相談に見えた時でした。「何を占ましょうか?」との問いに「結婚できますか?」と単刀直入に質問されました。
色々お話を伺うと結婚に対しての本気度が伝わり、直感的にこの人の婚活を応援したいと感じました。
そして「出会いが無ければ私の結婚相談所で頑張らない?」と、思わず声をかけました。
いつもなら、当日のご入会はお勧めしません。なぜかと言うと、場の雰囲気でご入会すると後でご本人が苦労してしまうからです。
けれど彼女には思わずご入会を勧めてしまいました。
それから「家に帰ってよく考えてみてね。」と、その日はそれだけで終わりました。

それから数日後、S子さんから無料カウンセリングの予約が入ったのです。
S子さんは、自らの恋愛やなぜ結婚に至らなかったかを説明してくださいました。
過去の良くない恋愛の話になるとお相手のせいにしがちですが、S子さんはご自分の良くなかった点を認めていました。この事は、その後の婚活においてとても大切であり、アドバイスにも活かされたのです。
S子さんも私に対し、話しやすい印象を持ってくださりご入会が決まりました。
これが最後のチャンスと思っているんです。」と、言ったS子さんの真剣な思いが胸に突き刺さりました。
これが、まさに二人三脚の婚活の始まりでした。

アクシデントが功を奏して

S子さんは素直で何事にもとても丁寧に向き合う会員でした。
プロフィール写真の為の洋服選びから自己PR文の作成まで、私のアドバイスに耳を傾けてくれ、素直に受け入れてくれました。

実際婚活が始まると、お見合い後のフィードバックから何が次に生かせるかを考え次のお見合いに活かすを繰り返しました。
つまり、S子さんは一回のお見合いをする度にお相手を見る目が変わってゆきました。

けれど、婚活はそんなに甘くは有りませんでした。

3人程の方と交際に進みましたが、真剣交際には至らず落ち込みました。
上手くいきそうになると、駄目になる。彼女の婚活はその繰り返しだったように思います。
男性がいざとなると決めきれず結局交際終了となってしまうのです。
彼女に全くの非は無く、終了交際になってしまうのは運が悪いとしか言いようがない位でした。もう、傷つきたくないだろうし、私だったら辞めてしまうかもと思った程でしたが、彼女は諦めませんでした。その気持ちの強さが運を引き寄せたのです。

私は、疲れ果てていたS子さんを見て限界かなと感じていました。

このお見合いが最後になるかもしれない。
その出会いは、良縁ネットからのお申込みでした。
お相手の男性は、S子さんよりも少し年上の50代前半の男性です。
お写真がさわやかでしたのでS子さんはお申込みを受諾しました。
まだ、夏に入ったばかりの頃、銀座のある喫茶店でお見合いが決まりました。
S子さんはお時間より少し早く到着し、お席について彼の到着を待っていました。
すると、お店のスタッフが「〇〇様ですか?××様が1時間ほど遅れてしまうそうです。」と、S子さんに伝言したのです。
「普通なら仲人である私から連絡が有るはずなのに!何故?」と、S子さんは動揺します。
後で分かったのですが、彼がお見合いの時間を1時間ほど勘違いしていたそうなのです。幸い、お見合いの1時間ほど前に気づきご自分の相談所に連絡を入れていました。カウンセラーさんが私に電話やメールを入れて下さっていましたが、運悪く、私が他の会員さんのお見合いの同行で連絡に気が付かなかったのです。その事は今でも深く反省しています💦
そんな訳で先方のカウンセラーさんが機転を利かせて下さり、お店に直接連絡を入れて下さったのでした。

S子さんは、彼の到着が1時間程遅れると聞いて待つことにしました。そう決めたら、張りつめていた緊張の糸が切れたかのように不思議とお腹が空いてきたそうです。メニューをよく見ると美味しそうなものばかりの老舗の喫茶店です。
S子さんは甘いものに目が有りません。『あんみつ』をオーダーして1時間待つことにしました。
あんみつを味わいながら30分したころ「すみません!」と、声をかけられます。何と、彼が30分も早く到着したのです。
あまりに早い到着にS子さんは驚いて「すみません、あんみつを食べてました!」と、思わず口走ってしまいました。けれど、彼は「いえいえ、ゆっくり食べてください。電話してきます。」と、言って少しの間席に着かないでいてくれたそうです。彼のこの気の利いた行動が二人の運命を大きく動かしたのです。

お互い、出会いから素の姿をさらけ出してしまったので、お見合いも気楽に話せて和やかに終わりました。
時間は、ちょうどお昼になっています。「彼がお腹すきませんか?良かったら、ランチご一緒しませんか?」と、誘ってくださいました。この声がけは、何気なく感じますが、男性からすると大きなかけです。相当勇気が要ったはずですよね。遅刻してしまったお詫びも有りますが、S子さんが好印象で思わず誘ってしまったのでしょう。
後で聞いた話ですが、彼はS子さんが良く笑うところと気楽に話が出来たところが良かったそうです。
S子さんも緊張せず居られたおかげで、もう少しご一緒してもいいかな。と、思ったそうです。
ランチはハンバーグをオーダーし、彼はビールをおいしそうに飲んだとS子さんから伺いました。

実質、1回目のデートを終えてしまった訳です。
デートまで終えてしまったのですから、当然仮交際へと進みました。
彼の決め手をS子さんに聞いてみると『あんみつをせかさず、ゆっくりと食べさせてくれたところ』だったそうです。それは、前述した通り、彼の思いやりと機転の良さが功を奏したのです。
一方、彼はと言うと、時間を勘違いした事をカウンセラーさんにこっぴどく叱られ「良いお返事が貰えなくて当然!」とまで言われていたそうです。ですから、S子さんのお返事に彼は勿論、カウンセラーさんも大変喜んでくださいました。 

それから、お二人の交際は順調にスタートしました。

心の靄が晴れて

交際がスタートして一か月が経った頃、S子さん『この人で良いのかな。。。』と、迷い始めていました。
女性にありがちですが、自分から好きになる恋愛が多かった人は、お相手から好意を示される事に慣れていないせいか、自分の気持ちが分からなくなることが多いのです。
けれど、それは靄がかかって見えていないだけなのです。
S子さんも正にそうでした。

その日は、彼の住む町に初めて遊びに行く日でした。
S子さんは何ども彼にLINEをしたそうですが既読にならず、段々不安になってきました。あらかじめ場所と時間は決めてありましたので、待ち合わせ場所へ電車で向かいました。「彼と連絡がつかないんです。先方の相談所から何か連絡は来てますか?」と、思い余って私にも連絡をくれました。思い詰め、焦った様子に私は驚きました。
「来てないよ!待ち合わせ場所も時間も決まっているなら心配しなくても大丈夫。まだ、待ち合わせの時間にもなっていないから待ってみてね。」そう話したのを覚えています。その数分後、彼はニコニコ顔で待ち合わせ場所に現れました。午前中、仕事で忙しく携帯を見る暇がなかっただけ。想像した通り、S子さんの取り越し苦労でした。

それにしても、時間も場所も決まっているのに何故あんなに焦っていたんだろうと私も考えました。
よくよく考えると、S子さんは以前の交際で経験した『交際終了』の経験がトラウマになっていたのです。

相談所での婚活では誰にでも経験が有りますが、相手方から辞退される場合、まず相談所に連絡が入ります。仲人同士が先に話しますので本人は後から知ることになるのです。
S子さんは以前の交際でその経験が有りました。
真剣交際に進む事になっていたお相手から突然交際終了の連絡が来たのです。この事は、S子さんにとって相当な痛手となったのは言うまでも有りません。

彼と急に連絡が取れなくなった事によって、あの時の事がフィードバックしたのです。
S子さんは、急に連絡が取れなくなる恐怖を彼に泣いて話しました。
彼は、彼女の動揺ぶりに最初驚いていましたが、S子さんが詳しく話をしてみると、彼女の気持ちを理解し自分の配慮の無さを心から詫びて、今後は不安にさせるようなことは絶対にしないと約束してくれたそうです。
それから、お二人の距離はグッと縮まりました。

私は、この事はお二人にとってとても良い事だと感じました。
それは、彼に対する自分の気持ちにS子さん自身が気付いたからです。
そして、いつの間にか自分にとってなくてはならない存在に彼がなっていた事にも気づいたのです。

靄が掛かって見えなかった自分の気持ちが、このアクシデントのおかげで靄がすっきりと晴れ、自分の気持ちがはっきりと現れたのです。

プロポーズ

それから、二か月して彼からのプロポーズを受け目出度くご成婚退会となりました。

報告を兼ね、最後の面談はS子さんも私も涙が溢れました。
沢山苦労し、辛い思いも経験してやっと掴んだ幸せです。
諦めなくて本当に良かった!辛いからと諦めていたら今日のこの日は無かったのです。

交際から三か月、プロポーズを頂いたころは真夏になっていました。
暑さに弱い彼女を思い、決して近い距離ではないのに、彼は毎回車で迎えに来てくれたそうです。
そして、プロポーズの際、素敵な花束をプレゼントしてくれたのです。
けれど、車の中に花束は無く「何処にあったの?」と、彼女が聞くと彼は恥ずかしそうにトランクの中のクーラーボックスを指さしたそうです。
このエピソード、私は大好きなんです。
彼の真面目さ、彼女を思う愛情深さと誠実さが凝縮したエピソードです。
花束もとてもセンス良く、男性が選んだとは思えない位だったので、彼にどうしたのかと尋ねると、店員さんに「彼女にプロポーズするので選んで欲しい」とお願いしたそうです。
この話を聞いて、S子さんは彼の素直で潔いところも良いなぁと感じたそうです。
知ったかぶりやつまらない意地も張らず、謙虚である彼を尊敬出来る事でしょう。

こうして、S子さんの約1年間の婚活が終わりました。

S子さんの婚活を通し、お相手選びで大切なのはお人柄だと改めて思いました。
自分がどれだけ大切にして貰っているか自覚し、感謝すれば、おのずと自分もお相手を大切にしたくなります。
そんなお相手を見つけられるようになるには、沢山の方とお会いする事です。
沢山の方とお会いし人を見る目を養わなければ何人の人とお見合いしても見つけられないでしょう。
そして、S子さんの様に、沢山の中からフィーリングの合う方でお人柄の良い方を見つけ出し幸せになって頂きたいと心から思います。

横浜鶴見の結婚相談所アルカデノアは、あなたの結婚したいを応援しています!